美育文化ポケット 第28号 発刊しました。

第28号 2020 Winter

目次


1 ふじようちえんは蚤の市 手塚貴晴

2 special feature 特別企画
わからないって
おもしろい!

10 curriculum design
カリキュラム・デザイン⑯
特集シールとテープ
つける・かざる
槇 英子+馬場千晶+秋山道広

18 curriculum design
こどもと先生のおどうぐばこ

20 pocket interview
西野範夫(元文部科学省視学官)
佐伯胖(認知心理学者)

27 art in life

28 連載 0・1・2歳からはじまる造形⑧
「表現という日常」 磯部錦司

30 連載 アート in SPACE④
関東学院六浦こども園のアトリエ(神奈川県)
渡邉裕樹

32 聖徳大学と地域の人々による
「アートパーク」 大成哲雄

34 practice 実践ポケット【認定こども園】
すべてのことが表現につながる
~1歳児の造形遊び~ 松浦瑞季

36 【幼稚園】
はまべぇ、ふかふかの羊毛をありがとう!
渡辺恵子

38 【小学校】
身近な光に触れながら
雨宮 玄

40 exploration in to the art of infants
連載 幼児造形の森⑫
感覚教育と科学主義 水島尚喜

41 word for children, word for art
連載 こどものための、アートのための言葉⑫
「自由」 佐藤賢司

42 drawing&painting こどもの絵を聴く

42【 幼児の部】 矢野 真

43 【小学生の部】 森實祐里

44 Q&A
連載 こどもが育つ造形Q&A
黄瀬重義+名達英詔

special feature 特別企画
わからないっておもしろい!

大橋 功+槇 英子+馬場千晶+秋山道広
TEXT BY ISAO OHASHI /岡山大学大学院 教授
HIDEKO MAKI /淑徳大学 教授
CHIAKI BABA/鶴見大学短期大学部 非常勤講師
MICHIHIRO AKIYAMA/芦屋市立精道小学校 教諭

「なんじゃこりゃ!?」あなたはそれをそのままにしておけますか?

そのままにして通り過ぎる人、そのままにしておけない人、味わいおもしろがる人……いろいろな人がいるでしょう。生まれてから日が浅いと、毎日が「なんじゃこりゃ」の連続ですから、こどもたちは「なんじゃこりゃ」の味方です。わからなくてもわかっても「そうなんだね」と思っているのに、大人はそれをわかろうとし、わからせようとします。いつも既知のものに囲まれているから、そんな日常を破られると落ち着かないのでしょう。そこで思わず「なにそれ?」という言葉を発してしまいます。

受け取った側はどうでしょう。言葉という枠で尋ねられると、言葉という入れ物に入れて返さなければなりません。言葉は、大人にとっては都合のよい入れ物ですが、こどもたちにとってはそうとは限りません。自分だけのイメージや考えを、色や形やしぐさや動き、十人十色の入れ物で発信しているのに、どうしてそのままを受け止めて関心を寄せてもらえないのでしょう。

現実世界を手に入れたい、わかりたいという原初的な衝動は、砂場で遊ぶこどもたちもスマホで写真を撮る大人たちも変わりません。ただし、こどもたちは全感覚を駆使して捉え、自分自身を媒体として表そうとしますが、大人は便利で効率的なツールで共有しようとします。その過程が自分自身をつくるから、こどもたちは、おもしろさを探究する「遊び」としてたっぷり時間をかけているのでしょう。その場に立ち会える幸いを感じ、わからないことやものがある日常を愛しむまなざしで、こどもたちの表現に向き合ってみませんか?(槇)

…続きは本誌で


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